「たら鍋、好きだけど臭みが気になって……」
わかります。せっかく旬のたらを買ってきたのに、生臭さが出てしまって残念な気持ち、経験したことある人も多いはず。でもそれ、下処理をするかしないかの差だったりします。
塩を振って、霜降りをする。たったこれだけで、たら鍋は別物のように美味しくなります。ぷりっとした食感、澄んだスープ、嫌な臭みゼロ——そんな極旨たら鍋、今日こそ作ってみましょう。
なぜたらは臭みが出やすいのか
下処理の話に入る前に、そもそもなぜたらは臭みが出やすいのかを知っておくと、処理の意味がぐっと理解しやすくなります。
たらの臭みの主な原因はトリメチルアミンという成分です。これは魚の鮮度が落ちるにつれて増える物質で、いわゆる「生臭さ」のもと。加熱しても完全には消えないため、下処理で事前に取り除くことが大切です。
また、たらは水分が多い魚でもあります。余分な水分がスープに溶け出すと、旨みが薄まって臭みが目立ちやすくなります。下処理によって余分な水分を抜いておくことが、美味しい鍋への近道です。
下処理①:塩を振る
なぜ塩を振るのか
塩を振ることで、たらの身から余分な水分と臭みが一緒に出てきます。浸透圧の力で、臭みの成分がじわじわと表面に引き出されるイメージです。
また、塩を振ることで身が引き締まり、加熱しても崩れにくくなります。鍋でぷりっとした食感を楽しむためにも、この工程は欠かせません。
塩の振り方・手順
- たらの切り身をバットや皿に並べる
- 両面にまんべんなく塩を振る(量の目安は薄くひと振り〜ふた振り程度)
- そのまま15〜20分ほど置く
- 表面に水分が浮いてきたら、キッチンペーパーでしっかり拭き取る
ポイントは置きすぎないこと。長く置きすぎると身が塩辛くなってしまいます。15〜20分を目安に、水分が出てきたらすぐに拭き取りましょう。
塩の量の目安
「薄くひと振り」が基本です。たらの切り身全体に軽く塩が行き渡る程度で十分。「塩をたっぷり使えば臭みも取れる」というわけではないので、やりすぎ注意です。
下処理②:霜降りをする
霜降りとは?
霜降りとは、熱湯をかけるか、沸騰したお湯にさっとくぐらせて、すぐに冷水で冷やす調理技法のことです。表面が白くなる様子が霜のように見えることから「霜降り」と呼ばれます。
魚の下処理として広く使われており、臭みの成分や余分な血合い、ぬめりなどを表面から取り除く効果があります。
霜降りの手順
- 鍋にたっぷりのお湯を沸かす
- 塩を振って水分を拭き取ったたらを、ザルや網に乗せる
- 熱湯をまんべんなく回しかける(または沸騰したお湯に5〜10秒ほどくぐらせる)
- 表面が白っぽくなったら、すぐに冷水(氷水)に取る
- 冷えたらキッチンペーパーで水気をしっかり拭き取る
霜降りのポイント
- お湯はしっかり沸騰させた状態で使う。ぬるいお湯では効果が半減します
- 冷水に取るのは「加熱が進みすぎないようにするため」。素早く冷やすことで、身がかたくなりすぎるのを防ぎます
- 水気を拭き取る工程を省かないこと。余分な水分がスープの旨みを薄めます
下処理の組み合わせが最強
塩を振る+霜降りをする、この2ステップを組み合わせることで、臭みをほぼ完全にカットすることができます。
「どっちかだけでも大丈夫?」という疑問もあると思います。もちろん、どちらか一方だけでもある程度の効果はあります。ただ、両方やることで確実に臭みゼロに近づけるので、手間を惜しまずぜひセットで行うことをおすすめします。
下処理にかかる時間は合計でも30分ほど。これだけで鍋全体のクオリティが格段に上がります。
極旨たら鍋レシピ
下処理ができたら、いよいよ鍋へ。シンプルだけど旨みが際立つ、定番のたら鍋レシピを紹介します。
材料(2〜3人分)
- たら(切り身)……3〜4切れ
- 白菜……1/4個
- 長ねぎ……1本
- 豆腐(絹ごしまたは木綿)……1丁
- 春菊……1/2束
- しいたけ……4〜5枚
- 昆布……10cm程度
スープ(昆布だし塩ベース)
- 水……800ml
- 昆布……10cm
- 酒……大さじ3
- 塩……小さじ1〜1.5
- 薄口醤油……大さじ1
作り方
①だしを取る 鍋に水と昆布を入れ、30分ほど浸けておきます。時間がない場合は弱火でゆっくり加熱しながら昆布のうまみを引き出してもOK。沸騰直前に昆布を取り出します。
②野菜を切る 白菜はざく切り、長ねぎは斜め切り、豆腐は食べやすい大きさに、しいたけは石づきを取って切り込みを入れておきます。春菊は食べやすい長さに切ります。
③スープを作る 昆布だしに酒・塩・薄口醤油を加えて味を調えます。「少し薄いかな?」くらいが食べながらちょうどよくなります。
④野菜から煮る 火が通りにくい白菜の芯・長ねぎ・しいたけから鍋に入れ、中火で煮始めます。
⑤たらを加える 野菜に火が通ってきたら、下処理を済ませたたらを加えます。たらは煮すぎると身が崩れるので、火が通ったらすぐに食べるのが鉄則。目安は3〜5分程度です。
⑥春菊と豆腐を加えて完成 最後に豆腐と春菊を加えてさっと温めたら完成です。ポン酢や柚子胡椒、おろし大根などお好みで添えてどうぞ。
たら鍋をさらに美味しくするコツ
昆布だしは必須
たら鍋には昆布だしが最もよく合います。顆粒だしでも作れますが、昆布から取っただしは旨みの深さが別格。前日から水に浸けておくだけでいいので、ぜひ試してみてください。
白子が手に入ったら一緒に
たらの白子は冬が旬の絶品食材です。スーパーで見かけたらぜひ一緒に鍋に入れてみてください。白子も霜降りしてから使うと臭みが取れて、とろりとした旨みが引き立ちます。
〆は雑炊で決まり
たら鍋の後の〆は雑炊が最高です。たらの旨みがとけ込んだスープでご飯を炊くだけで、贅沢な一杯になります。溶き卵を加えてふんわり仕上げれば、最後の一滴まで楽しめます。
よくある失敗と対処法
身が崩れてしまった
たらは火を入れすぎると崩れやすい魚です。鍋に入れたら強火にせず中火〜弱火で、火が通ったらすぐ食べるを意識しましょう。食べるペースに合わせて少しずつ入れるのもおすすめです。
スープが白く濁ってしまった
強火でグツグツ煮立てると、スープが白濁して臭みが出やすくなります。たら鍋は静かにコトコト煮るのが基本。沸騰させすぎないよう火加減を調整してください。
それでも臭みが気になる場合
下処理をしっかりしても臭みが気になる場合は、たらの鮮度が落ちている可能性があります。購入時は身の色が白く透明感があり、切り口がきれいなものを選ぶようにしましょう。
まとめ
たら鍋を臭みゼロで美味しく作るポイントをまとめます。
- 塩を振って15〜20分置き、水分と臭みを引き出す
- 霜降りで表面の臭み・ぬめりを取り除く
- 昆布だしのスープで旨みを引き立てる
- たらは煮すぎず、火が通ったらすぐ食べる
- 〆の雑炊まで楽しんで完食
下処理は少し手間に感じるかもしれませんが、やるとやらないとでは大違いです。ぷりっとした食感、澄んだスープ、旨みたっぷりのたら鍋——今年の冬は、ぜひ極旨たら鍋を食卓に並べてみてください。
旬のたらで作る鍋は、冬の食卓の主役になれます。下処理のひと手間が、特別な一鍋を生み出してくれます。
